ジープランG-PLANに関するあれこれ
ジープランG-PLANの歴史 BVP流解釈


G-PLAN(ジープラン)は、1950年代にイギリスの老舗家具メーカー「E.Gomme(イー・ゴム)社」によって立ち上げられた家具ブランド・シリーズです。
ヴィンテージ家具に興味がある方には馴染み深いブランドで、イギリス家具でありながら、北欧テイストのデザインが特徴的で現在も人気が高いアイテムとなっています。
ジープランG-PLANは英国ヴィンテージで一番人気、一番有名なブランド、シリーズです。もちろん、日本においても。
だから有名なもの、あまり好きでない方は、別ブランドをおススメします。
私は、北欧デザインを、ブリティッシュで昇華させた会社です。
ブリティッシュミッドセンチュリーモダンスタイルの完成形であります。
そんなジープランG-PLANの歴史を探ります。
ジープランG-PLANとE.Gomme社の成り立ち

E.Gomme社 イーゴム社と読みます。エ・ゴッメではありません。
ジープランG-PLANの母体であるE.Gomme社は、1898年に創業されました。
20世紀初頭には機械化による大量生産体制を確立し、1950年代にはイギリス最大の家具メーカーへと成長します。
機械化の導入を初期から行ったことが、一つジープランG-PLANを英国ナンバーワンに押し上げた要因の一つです。
もちろん、この時期の機械化の際には、職人も機会を考え、手作業も残るような機械化ですね。
~第二次世界大戦と統制家具~
第二次世界大戦中、イギリスでは資源不足から政府の規制により自由な家具制作が制限され、「ユーティリティ・ファーニチャー(統制家具)」と呼ばれる統制された家具が普及しました。
この時期、イギリスの高級木材も規制対象となり、木材不足や空爆の影響もあって、限られた資材を有効活用するための家具づくりが主流でした。
統制家具には「CC41」という印があり、これは政府の規定に基づいた民間配給品を意味していました。
CC41とはControlled Commodity 1941の略。
1941年から1952年まで、戦時中の物資不足に対応するために、イギリス政府によって導入され、政府の定めた規格に適合した家具につけられました。
いわば、政府お墨付きの家具です。
物資を効率的に使うために、デザインは簡素化され、CC41の家具は非課税とされ、市民が手ごろな価格で必需品を入手できるようにしました。
1941年から1952年まで、戦時中の物資不足に対応するために、イギリス政府によって導入され、政府の定めた規格に適合した家具につけられました。
いわば、政府お墨付きの家具です。
物資を効率的に使うために、デザインは簡素化され、CC41の家具は非課税とされ、市民が手ごろな価格で必需品を入手できるようにしました。
そして、品質保証は政府が定めた基準を満たした品質でなければ、CC41マークはつけられません。
第二次世界大戦の戦火を免れた貴重な一品です。
第二次世界大戦の戦火を免れた貴重な一品です。

当店にもいくつか取り扱いあります。
それ以前のアンティーク家具は装飾が施され、多くの木材が使用されていましたが、この時期にそれは消えます。
表現が制限され、抑圧されたこの時期に、英国の家具デザイナーは多くの部材を使わないシンプルだけれども、洗練された北欧デザインに出会うのです。
表現したいけれども、表現できない制限された状況から、一気に爆発するのです!どっかーん!!
ジープランG-PLAN=英国ヴィンテージ家具を語るうえで、非常に重要なターニングポイントであります。
北欧デザインの流行とジープランG-PLANの誕生

1951年、ロンドンでの展示会
「Scandinavian Design for Living」展という展示会がロンドンで開催され、北欧家具がイギリスでも注目を集めるきっかけとなりました。
イギリスが戦争による規制の影響でデザイン面で遅れを取る中、北欧、特にデンマークでは「スカンジナビアデザイン」と呼ばれるモダンでスタイリッシュな家具が制作され始めていたのです。
北欧が第二次世界大戦において、一応中立国であったことにも由来しそうですね。ヤコブセンはユダヤ系でしたので、スウェーデンに亡命したり。
ちなみにこの展覧会、ロンドンの高級家具屋ヒールズにて行われたそうです。
当店でもヒールズにて販売されていた家具、取り扱いがあります。
そして、1954年以降、「Design in Scandinavian」展が、イタリアトルエンナーレ、ニューヨーク、シドニー等にて行われ、Scandinavian Designが席巻します。
G-PLANの誕生
戦後、E.Gomme社の3代目責任者であるドナルド・ゴムは、この北欧デザインに触発され、1952年に「G-PLAN」というブランドをスタートさせました。
「Scandinavian Design for Living」展の翌年。かなり早い。商売センスを感じますね。
職人の技術力、デザイン力、マーケティング力、このあたりがE.Gomme社はずば抜けていたのだと思います。
「G」はE.Gommeの「G」、そして「PLAN」には「長期にわたって計画的に買い足していける家具」という願いが込められています。
買い足していける、今では当たり前ですが、当時として画期的でした。家具は、一式を買うものでした。〇〇セットです。
それをジープランG-PLANは否定したのです。
ジープランG-PLANの人気とデンマーク風デザイン

北欧風デザインの導入
ジープランG-PLANは、イギリスの顧客に北欧スタイルの家具を提供し、そのシンプルで機能的なデザインが瞬く間に大人気となりました。
イギリス家庭にモダンでおしゃれなインテリアを提供するというコンセプトは、当時としては革新的でした。
買い足していくというコンセプト、シンプルなデザイン、革新的であり、業界のトップリーダーであります。
デンマークデザイナーの起用
1960年代になると、ジープランG-PLANは北欧家具の流行に押され、競争が激化しました。
ドナルド・ゴムは危機感を抱き、デンマーク出身のインテリアデザイナー、イプ・コフォード・ラーセンIb Kofod-Larsenを起用。
デンマークのモダンなデザインにインスパイアされたシリーズを展開し、ロンドンで絶大な人気を博すことになります。
新しいデザインスタイルへのシフト

1970年代後半の変革と新しいデザイン
1970年代後半にかけて、ジープランG-PLANは時代の流行に合わせてデザインスタイルを一部変化させました。
オリジナルのミッドセンチュリーモダンのスタイルから、よりモダンなスタイルや、フレキシブルな収納家具へとシフトしています。
特に、ファームファイブシリーズと言われるモジュール式の家具は多様化する生活スタイルに合わせて組み替えができるため、家庭に適した家具として人気がありました。
G-PLANのヴィンテージ人気と現在

ヴィンテージ家具としての再評価
1980年代以降、ジープランG-PLANの人気は一時的に低迷しましたが、21世紀に入り、そのモダンで北欧風のデザインが再評価され、ジープランG-PLANの家具はヴィンテージ市場での需要が高まりました。
特に、その独特のデザインと品質は、多くのコレクターやヴィンテージ家具愛好者に支持されています。
また、北欧デザインの流行が再燃していることも、ジープランG-PLAN人気の復活に一役買っています。
ブランドの存続と現在の展開
1987年にジープランG-PLANブランドは売却されましたが、現在でもイングランド西部やスコットランドの工場でソファやキャビネットなどを製造し、「G-PLAN」としての名を引き継ぎながら、品質を保っています。
ヴィンテージ家具としての人気はもちろん、現代のライフスタイルにマッチするようにデザインされた新しいコレクションも発表されており、ジープランG-PLANは今なおその時代に合った革新を続けるブランドとして存在しています。
個人的には現代のものは、萌えません。
しかしながら、現存する数少ない英国ヴィンテージ家具ブランドであります。
でも、やはりあの時代に、その時代の職人が作ったものが最高で、浪漫を感じます。
現代における影響
ジープランG-PLANの北欧風デザインは、イギリス家具に革新をもたらし、時代を超えて愛され続けています。
現在もヴィンテージ市場に大きな影響を与えているだけでなく、ジープランG-PLANの家具は、モダンで洗練されたデザインを好む若い世代のインテリアデザイナーや愛好者にも広く支持されています。
いつの時代も英国ヴィンテージ家具のトップランナーである、ジープランG-PLANであります。おしまい。