英国ヴィンテージ家具デザイナー
ヤンガーYOUNGERのジョン・ハーバートJohn Herbert
ジョン・ハーバート(John Herbert)の経歴
ジョン・ハーバートは、1950年代から1960年代にかけて活躍したイギリスの家具デザイナーです。
謎多き人物です。
写真が残っておりません。
イギリスの家具メーカー・ヤンガー「A. Younger社」での活動で知られ、スカンジナビア風のサイドボードや高級家具のデザインで注目を集めました。
おそらく、インハウスデザイナー(企業内におけるデザイナー)だと推測されます。
日本だと何というか、日建設計の○○さんみたいな?
それにも関わらず、英国ヴィンテージ家具においては、かなりの知名度です。
英国ではしっかりとデザイナーの価値が認められていたのだと思います。
なにより、職人の技術を理解し、職人の気持ちを理解し、それらを最大限に生かしつつ、時代にとらわれないデザインをすることが命題でありました。
荒々しい気性の職人たちからそっぽを向かれたら、作りたいものも作れませんし、経営者を説得できなければ、世に商品を送り出すことができません。
彼のデザインは、当時の英国モダニズム家具の先駆けとして評価されています。
Younger社は当時、高級モダニズム家具の生産に特化しており、スカンジナビアスタイルを初期に採用したイギリスの会社のひとつでした。
しかし、後にはより英国らしいスタイルへと移行することで、他社との差別化を図りました。
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ジョン・ハーバートの代表的なデザイン
**1. モーゼル(Moselle)ダイニングセット**
1955年に発表された、Younger社初のチーク材を使用したダイニングセット。
スカンジナビアスタイルを明確に取り入れた革新的なデザインとして注目を集めました。
椅子がいいんす。
かなり早い時期から北欧スタイルを取り入れています。
感度が高い。
**2. ヴォラニー(Volany)コレクション**
1957年に発表されたチーク材のコレクションで、10年以上にわたり生産されました。
シンプルかつ洗練されたデザインが特徴で、当時の中流階級に広く受け入れられました。
↑のサイドボードなんかは、かなり重厚感があって、あと50年はかるくいけそうなものが多いです。
それぐらい品質がよい。
品質がよいということは、職人の技術を引き出すのがうまいのだと思います。
選手の能力を最大限引き出す監督的な。
エディ・ジョーンズ的な。
**3. サイドボードとダイニングテーブル(1960年)**
1960年には、ハーバートのデザインしたサイドボードとダイニングテーブルが、家具職人ギルドから3つの賞を獲得しました。
- 上のサイドボードはアフリカ産無垢材「アフロモシア」別名アフリカンチークを使用。
これがまた、良いんですよね。
- ↑の写真のテーブルはフォンセカFonsecaコレクション(1959年)に属し、サイドボードに合わせてアフロモシアで製作されました。
このテーブルは店長一押しであります。
私の感覚では、ヤンガーYOUNGERのFonsecaフォンセカは、E.GOMME社のジープランG-PLANを超える品質を誇っております。
そして、デザインも抜群です。
**4. トレド(Toledo)コレクション**
1972年に発表されたアフリカンウォールナット材を使用したダイニングセット。スペインの伝統的なデザインにインスパイアされた新しいスタイルで、ベストセラーとなりました。
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ハーバートのデザイン哲学と影響
ジョン・ハーバートは、一貫して高品質で高価な素材を使用し、少量生産による独自性を追求しました。
彼のデザインは主に目の肥えた顧客をターゲットにしており、特にスカンジナビア風のサイドボードやダイニングテーブルは普遍的な魅力を持ち、現在でもミッドセンチュリー家具市場で高い評価を受けています。
ヤンガーYOUNGERのサイドボードやダイニングテーブルは必ず仕入れています。
まだまだ、知名度が低いですが、モノホンって感じなんです。
1960年代後半には、チーク材家具の需要が飽和状態に達する中で、アフリカンウォールナットなどの新しい素材を取り入れることで、時代の変化に対応しました。
この戦略は成功を収め、トレドコレクションがその代表例です。
トレドコレクションは私の趣味ではないので、仕入れたことはありませんが、今後、機会があれば触ってみたいので、仕入れてみようと思います。